【3話】オーストラリアで開催されたフィットネスモデルの大会に挑戦(大会当日) パート1
是非、大会前日パート1からお読みください。
ついに大会当日
昨日は緊張と興奮のせいか、寝付けたのが夜中の3時。
疲れからか、そこからは熟睡だった。
目が覚め、時計を見ると朝の5時。
いつもは6時間の睡眠時間を確保しないと疲れを感じるのだが、アドレナリンが出ているせいか、今日はパッと目が覚めた。
Kさんはまだ眠っているようだ。
起こさないように、真っ暗な部屋からシャワールームに向かい、昨日のタンニングスプレーを洗い落とす。
※タンニングスプレーは全部で3回します。
前日にベースコーティングをして、当日の朝に一回洗い落とします。
そして、当日の数時間前にもう一度タンニングスプレーをして、ステージに上がる30分前にタンニングのオイルのようなものを塗ってもらいます。
大会当日、緊張は一切ない。
あるのは、興奮と必ず優勝するのだろうという、どこから湧き上がっているのか分からない自信。
シャワーを浴びた後、なぜか笑顔だった。
シャワールームから出て、朝ごはんの準備をする。
朝も早く、カーテンも閉まっていたため真っ暗でどこに何があるのかまったく分からず、机に腕をぶつけた。
Kさんは、気にせず朝は起こしてくださいと言っていたが、こうゆう時、起こさないのが僕のカッコをつけるポイントだ。
携帯の明かりをつけて、事前に用意していたオートミールシリアルを食べる。
※オートミールシリアルとは…
オートミールをココナッツオイルとオリーブオイルで炒め、はちみつと岩塩をかけたもの。
大会当日は、塩分を戻し(カットしていた塩分を摂取します)、カロリーと糖分を限界以上まで放り込みます。(お腹が膨れすぎない程度に)
筋肉は水分でできているため、当日は浮腫まない程度に水分もこまめに摂取します。
コンテイナーの半分くらいで、早くも限界がきた。
減量中はずっとカロリー、炭水化物を制限していたため、死ぬほど炭水化物が恋しくなります。
ただ、大会前日からカーボアップ(炭水化物の摂取量を一気に増やし、筋肉に張りをもたせる)をするため、途中から炭水化物が食べるのが苦痛になります。
ボディービルをするようになって、人間は無い物ねだりなんだなと痛感する事が多い。
なんとか、80%まで食べたころでKさんが目を覚ました。
Kさん「起こしてくれて良かったのに」
僕 「あっおはようございます」
こうゆう時、なんて答えたらいいのかいつも分からなくなる。
人によっては、僕が怒っているようにも見えるかもしれない。
だから、いつも笑顔で答えるようにしているが、朝は眠たいからか笑い方が少し硬く、ただ単に気持ち悪い。
そして、僕の口癖は、最初に、あっ、と言う事だ。
英語を話していても、あっとよく言う。
だから、カフェで名前を聞かれたら、だいたいカップには
Ahiro アヒロ
と書いてある。
悪くない。
会場へ向かう
出発の準備を済ませ、会場に向かう。
シドニーの中心地から会場までは約1時間。
黒くて、体毛が剃られている人を見ると少しライバル意識が芽生えます。
ライバルがいる。
ただ、ライバルだか、大概はステージに上がれば戦友になる。
お互い過酷なダイエットを耐え抜いてきて、同じステージに立つ。
いつもライバル達に思うのは、尊敬。
そして、会場についてから、いつも思うのは、こんなに多くのマッチョ達は普段、どこに隠れているのだ?
(ハーバーブリッジを渡る風景)
車内でトレーニングの話をしていたら、すぐに目的の駅に着いた。
到着
今回はKさんはトイレは大丈夫みたいだ、と思った瞬間、Kさんはトイレに行きたいと言った。
駅に着き、僕たちが向かったのは、改札でもなく、トイレだった。
会場までは徒歩で5分。
迷っていたら、明らかに体のサイズが人と違う人が会場まで案内してくれた。
後から知ったのだが、この人は、審査員のうちの一人だった。
そして、会場で少しくつろいでいると選手登録が始まった。
(登録会場)
スタッフに名前と服のサイズを言って、袋をもらう。
袋の中身は、INBA NSWのタンクトップと、プロテインのサンプル数袋、そして自分の番号だ。
(今回は3番が僕の選手番号だった)
いよいよ大会が始まるのかと、実感し始める。
スタッフに出場時間を確認する。
スタッフ「君は午前中だから、タンニングを早く終わらせた方がいいよ」
僕「そっか」
Kさん「えっ、事前のスケジュールには午後となってるけど、どうゆうこと」
スタッフ「あーこれは間違えで変わったんだ」
Kさん「メンズフィットネスだよね?それが、午後から午前に変わったの?君の持っている資料には、休憩後にメンズフィットネスと書いているけど?」
スタッフ「本当だ!メンズフィットネスは午後からだ!僕の見間違えだ。」
これが、オーストラリアだ。
そして、僕は本当に気にしない性格なのかもしれないと反省した。
Kさんがいなかったらきっと午前中にパンプアップをして、数時間以上も裸で待っていただろう。
Kさんはオーストラリア在住15年。
オーストラリアというものを知り尽くしている。
日本から、ぴょんっと来た僕には知らない事をたくさん知っている。そして、経験もしている。
そして、色んな事を経験するたびに僕は思う。
これがオーストラリアか!!
いい意味でも悪い意味でも、適当だ。
オーストラリア人の友達と遊ぶ時はほぼ100%、彼らは約束なんか決めない。
遊ぶ日の20-30分前に、遊ぶかどうか、どこで遊ぶかが決まる。
そして、その場で何をするかが決まる。
日本人の多くは、場所と時間と何をするかをだいたい決める。決める事で物事がスムーズに進むからだ。
しかし、何も決めていなくても全てスムーズにいくから不思議だ。
オーストラリアにきて、新しい価値観と考え方が僕の中にすっと入って来ました。
ついに始まる
選手がステージに呼ばれ、大会の代表者らしき人が大会の説明を始めた。
ネイティブの英語は本当に早い。
彼らの英語を聞く時は、全神経を集中させないとだいたい聞き逃す。
大会の事なので聞き逃すわけにはいかない。
僕は本気だった。
僕の全神経は耳一点集中モードだ。
そして、全神経を集中させて分かった事は、ポージングの回数と場所、ドラッグを使うな。のみだ。
集中しても、ネイティブ同士の会話はスーパー難しい。特にオーストラリアの英語はめちゃめちゃ早い。(人にもよるが)
代表の方がジョークを言って(たぶん)、周りのオージー達が笑っていた。
何が面白いのか全く分からず、僕だけ無表情だった。
こんな事はよくある。
相手が友達なら、僕は空気を読まずに、何て言ったん?と会話から英語を学ぶことが好きだから、言ったギャグを何回でも聞き直す。
ただの芸人殺しだ。
今回はやめておこう….
そして、代表がみんなに聞く
代表「 質問はあるか? 」
ふざけるな。ある訳がない。
女性 「$|%{£’€{*{£<£+%」
かろうじて聞こえてくるのは、単語だ。
だが、その単語すら分からない。
ある程度英語も喋れるようになっていたので、オーストラリアでは仕事や友達と遊ぶ時は英語で喋る事が多く、自分は英語が喋れると思っていた。
僕の周りのネイティブの友達は簡単な英語を僕が分かるように優しく言ってくれていたのだなと思った。
持つべきものは友である。
そして、結局何も分からないまま説明会が終了し、いよいよ大会がスタートする!!
つづく…
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